木造住宅向け制振ダンパー・制振装置evoltz(エヴォルツ )|千博産業株式会社|耐震+制振|

STORYvol.5

挑むエンジニアたち

データの信頼性をどう担保するか?
「評価のものさし」作りに挑むエンジニアたち

熊本地震以降、繰り返しの地震に備える対策の1 つとして注目されている「制振装置」。
しかし、制振性能を評価する基準がいまだに統一されていないため、
各メーカーの評価手法がバラバラで、「制振装置」の良し悪しを判断しにくいのが現状だ。
そこで今回、当社が製造・販売を手がける「エヴォルツ」の試験現場を公開し、
同製品がどのような評価基準で性能を担保しているかを解説する。

妥協を許さない社風のもと、制振メーカーとしての理論体系を確立

千博産業は制振業界に新規参入するにあたり、「他社の真似をするだけでは勝ち残れない。我が社独自の技術を備えた高性能の製品を開発しよう」というこだわりを貫いた結果、自動車のショックアブソーバの技術を応用した制振ダンパーの開発に成功した。そして、世界最高品質を目指して既存の製品のリニューアルを図り、ドイツのビルシュタイン社に製造を委託、「エヴォルツ」を世に送り出した。また、「エヴォルツ」の開発によって制振メーカーとしての理論体系を確立できたことは、当社の大きな成果として挙げられる。

「エヴォルツ」の開発を担当した制振事業部チーフエンジニア・上野浩志は当時を振り返り、「方杖・仕口タイプの制振ダンパーが持つ課題を踏まえた上で、製品の構造をさまざまな観点から何度も見直し、完成度の高い設計を実現でき、今では大学の有識者とも論議ができるぐらいの自信を得ることができました」と語る。

「開発」とは、性能の「根拠」を築く作業である。

熊本地震によって、繰り返しの地震に強い「制振装置」への注目が集まる中、「エヴォルツ」も順調に販売を拡大している。しかし当社では現状に甘んじることなく、エンジニアたちが常に制振性能のさらなる向上を追求している。
製品開発において大切なこと、それは製品の性能の「根拠」を築くことである。そのためにはまず、卓越した技術とスキルを駆使して「評価のものさし」を自ら策定し、評価の試験方法を開発する必要がある。また、それに伴い、試験に必要とされる治工具や計測装置も開発しなければならない。そして、開発した工具や装置を使って、さまざまな揺れや状況を想定した条件下での数値を計測する。
その作業を繰り返してデータの解析を行うことで、製品の性能を正確に評価することができる。そして、自らが設定した厳しい評価基準をクリアしたものだけが最終製品として世に送り出されるのだ。

このように、性能の「根拠」を築く、つまり、製品の性能を担保するためには、緻密な開発作業と検証工程に多くの時間を費やさなければならない。さらに、こうした検査工程は「エヴォルツ」本体の性能だけでなく、構成部品の耐久性を精査するためにも行われる。
この過程では、使用環境において耐え得る限界まで徹底的にテストを実施。使用環境下で起こり得るさまざまな現象を想定し、集中的にシミュレーションする。そこまで徹底した検査に基づくデータだからこそ、営業での技術支援や配置設計における「エヴォルツ」の信頼性の根拠となり得るのだ。

開発段階でこだわった『3つ』のポイント

「エヴォルツ」の開発にあたっては、特に次の3つのポイントにこだわった。

point 1
小さな揺れから
制振性能を発揮

層間変形 1/200rad( 3mの柱頭部で 15mmの揺れ)以下の、ごく小さな揺れから、強くブレーキをかける。

point 2
繰り返しの揺れに対する
強さを実証

100万回の作動耐久試験、さまざまな環境における作動確認を実施。余震を含めた繰り返しの揺れに対する信頼性を確立する。

point 3
構成部品の耐久性
を保持

ブラケット、ボルト、ビス、ブレースなど部品一つ一つにまで、性能にこだわり開発を進めている。(溶接強度、座屈強度など十分な信頼性を持つ)

column

異業種で培った経験と技術を活かし、
さらなる進化を追求する2人のエンジニア。

「エヴォルツ」の開発者・上野浩志は、この業界に携わる以前は四輪自動車の足まわりの設計者だった。過酷なレースを走る車の足まわりは、道路のちょっとした凹凸や小石といったごくわずかな障害によって走行性能が左右される。そんなシビアな業界でエンジニアとしての責務を担ってきた上野が制振業界に移った際の率直な感想は、「それぞれのメーカーの持つ試験データの根拠に疑問を感じました。実地試験で建物を1 回揺らしただけで制振性能を評価するのは、非常に曖昧だと思ったのです」というものだった。そこで上野は、方杖・仕口タイプの制振装置であることの課題を充分に踏まえたうえで「エヴォルツ」の開発に取り組み、前述のように開発と検査を何度も繰り返したうえで、制振装置の評価基準を自ら確立していったのである。

異業種での経験を活かして制振装置の開発に取り組む技術者は、上野以外にもう1 人存在する。当社のエンジニアの佐藤智幸は、道路や橋を建設する土木業界の出身。「地域の社会や経済を支える街のインフラは、住民の命にも関わる重要な役割を担っています。だからこそ、『安全性能』に対する根拠をしっかりと確立した上で実務を遂行する必要があります。住民の命に関わるという意味では、制振装置も同じこと。『制振性能』の根拠を明らかにし、皆様に安心をお届けすることが信頼性の向上への第一歩だと思います」と語る。
異業種での経験と技術を、さらなる開発に生かそうと意欲を燃やす佐藤。
上野と共に、これからの活躍が期待される。

2人のエンジニア
左)上野浩志 右)佐藤智幸

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