「木造住宅の耐震性に必要な 覚えておきたい5つの要素」
evoltz構造担当の早川です
前回は耐震と制振の関係性についてお話しましたが
今回はもう少し掘り下げまして
住宅選びをするお施主さんも知っていた方が良い
木造住宅の耐震性に必要な5つの要素についてお話します
【木造住宅 耐震5要素】
①構造計画
②耐震等級3
③許容応力度計算(構造計算)
④制振装置
⑤微動探査
漢字がたくさん並んでいて頭に入ってこないかもしれませんが…
1つずつ簡単に説明します
①構造計画
構造計画とはその字のごとく、構造の計画
柱や梁、耐力壁や床・屋根、基礎などの家の構造の根幹となる部分の配置計画です
前回、耐震は人間の体にたとえると筋肉ですというお話をしましたが
構造計画は人間の体でいう骨 骨格にあたります
たとえば、猫背だと腰に負担がかかりやすかったり、ストレートネックだと首や肩に負担がかかりやすかったりします
そうすると強靭な肉体でも100%の力が出し切れません
なので力の流れ方を考えて各部材の配置を行うことが非常に重要です
②耐震等級3
これまた前回のお話で耐震は大事ですよとお話しましたが
何を目安にしたら良いのか?
これが「耐震等級3」です
耐震等級というのは国が定めた耐震性のランクで1~3まであります
耐震等級1は建築基準法レベルで、これは本当に最低限
震度6強の地震が起きたら、なんとか倒壊せず逃げられる時間が確保できるというレベル
これに対して耐震等級3はあの震度7クラスが2回来た熊本地震でも大きな被害が出なかったレベル
この2つを比較したら…耐震等級3の耐震性は必須ですね
③許容応力度計算(きょようおうりょくどけいさん)
この漢字7文字熟語は耐震性を各部材ごとに計算する「構造計算」の一種
木造住宅で構造計算といったらほぼ100%この計算です
許容応力度計算は健康診断のようなもの
人間の体も健康診断を行って指摘事項が出たら生活習慣の改善や薬の投与が必要
許容応力度計算は、耐震等級3の家を設計して、その家が本当に耐震等級3の性能があるのかどうかを計算でチェックを行う
そして計算でNGが出た箇所は計画の是正を行う
ここまで詳細な計算は許容応力度計算のみ
木造住宅の他の構造検討方法は全て簡易な計算です
④制振装置
こちらも前回ご説明した通り、しなやかな柔軟性をもたせて、何度も来る地震に対して耐力壁の劣化を抑えたり、さらには断熱気密・耐久性の保持にもつながってきます
弊社evoltzのような制振装置であれば、小さい揺れから効果を発揮してくれるので
精神的な不安の軽減や家具の転倒抑制などにも役立ちます
⑤微動探査
許容応力度計算が計算上の健康診断であったのに対して、微動探査は実測できる健康診断
地盤や建物は人が感じないレベルで常にかすかに揺れているので、それを計測することで耐震性を図るというもの
今はやりの気密測定の耐震版
これを行うことで、大きな施工不良による耐震不足が発生していないかがわかるとともに
大地震後や何十年後の耐震性の劣化をチェックすることができる
リフォーム・リノベーションにも活用することができる優れもの
今回は木造住宅の耐震性に必要な、覚えておきたい5つの要素についてお話しました
このように説明していくと…家も人間の体と同じだということがお分かりいただけると思います
なお地震対策としては建てる場所の地盤やその土地の災害リスク、きちんと施工されているかの確認や第三者検査、そして新築後のアフターメンテナンス・リフォームなども重要なポイントです
ハウスメーカー・工務店の方はこの辺りをしっかり誘導してあげると良いですね
ご不明点ある方は下記からお気軽にお問い合わせください。
次回以降、こちらの要素をもう少し深掘りしてご説明します