教養としての「住宅制振装置」第四章_長期優良住宅の普及と東日本大震災

さて、連載企画「教養としての住宅制振装置~なぜ今evoltzなのか~」第三章です。

今回の企画を始めるに際し、弊社にて、制振装置メーカーの歴史を調べてみました。

その中でわかったことは

 

・震災

・法律

・大手ハウスメーカーの動き

 

この三つが大きく影響しているということです。

また、住宅性能表示制度によって耐震等級2や3を取得した割合の推移を確認していくと、

「なぜ今evoltzなのか」が歴史的に見えてきます。

 

前章では、業界を技術面でもリードしている大手ハウスメーカーの制振装置の取り組みを解説しました。

本章では、耐震等級の推移に関して、2つのことを解説していきます。

 

2009年 長期優良住宅誕生

2009年に長期優良住宅制度が導入され、その後、優れた耐震性能と省エネルギー性能を兼ね備えた住宅が増加しました。

この制度は、住宅の品質向上と地震などの自然災害に対する強固な建物の建設を促進するために導入されました。

耐震性に関しては、下記条件があります。

 

 

基本的には、”耐震等級2以上”を取得する流れができてきます。

 

■耐震等級2以上の取得増加

長期優良住宅の普及に伴い、多くの住宅が耐震等級3を取得しました。耐震等級3は、強固な構造を持つことを示す指標で、
地震に対する耐性が高いことを示します。これにより、住民の安全性が向上し、地震による被害を軽減する効果が期待されました。


下記は、性能表示制度の耐震等級3取得率です

2009年からスタートした長期優良住宅制度の影響により、2010年には新築住宅のうち、性能表示制度の耐震等級3の取得率が20%を超えました。
木造(在来工法)でも、前年度より2%以上の上昇が見られました。
2011年にも割合がさらに上昇しておりますので、この段階で耐震等級3への取り組みが一層普及した、ということになります。


また下記は、長期優良住宅認定制度の取得率です。

2009年:56,146棟

2010年:101,836棟

2011年:102,869棟 

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阪神淡路大震災をきっかけに、法律が代わり、耐震等級が制定されました。

そして地震対策としての制振装置が普及しはじめ、長期優良住宅制度でよりスピードが増してきた時に、3.11が起こります。


ちなみに、調査する中で、”耐震等級3”が市場に何棟供給されされているかは、正確に調査されていません。

性能表示制度と長期優良住宅を両方申請している案件などもあるそうです。

 

■2011年 東日本大震災

2011年に発生した東日本大震災は、日本国内でもっとも大きな地震のひとつであり、甚大な被害をもたらしました。

この震災は、耐震性能の重要性を再確認させる出来事となりました。

 

東日本大震災における被害住宅の件数は、以下の通りです。

全壊: 約12万8529戸

半壊: 約24万284戸

一部破損: 約68万9000戸

合計すると、約106万戸の住宅が被害を受けました。

 

内訳は、以下の通りです。

岩手県: 約3万9000戸

宮城県: 約7万8000戸

福島県: 約1万1000戸

最も被害が大きかったのは宮城県で、全壊・半壊合わせて約15万5000戸の住宅が被害を受けました。

 


地震対策をより一層強化しなければならない、という大きなきっかけがあり住宅の市場ではどのような動きがあったのか。

次の章では、3.11後の地震対策について、制振装置メーカーの動きと耐震等級の普及に関して解説します。