教養としての「住宅制振装置」第七章_ 耐震の考え方
さて、連載企画「教養としての住宅制振装置~なぜ今evoltzなのか~」第七章です。
今回の企画を始めるに際し、弊社にて、制振装置メーカーの歴史を調べてみました。
その中でわかったことは
・震災
・法律
・大手ハウスメーカーの動き
この三つが大きく影響しているということです。
また、住宅性能表示制度によって耐震等級2や3を取得した割合の推移を確認していくと、「なぜ今evoltzなのか」が歴史的に見えてきます。
前章では、熊本地震とその後の業界の変化を解説しました。
その変化とは耐震等級3取得率の増加、そして制振装置サードウェーブの発生でした。
本章では、更なる耐震の強化について解説します。
◾️木造住宅の耐震の変化
木造住宅の地震対策の考え方は
「木材の性質で揺れをいなす」
から
「耐震等級の制定 壁量が大事」
と変化しました。
下記は住宅性能表示の耐震等級3取得数の推移です。
2000年から始まったこの制度ですが、地震や法改正の影響により、
2021年には耐震当等級3の取得率は新築住宅着工数の37%に増加しました。
木造住宅に限っても22%まで増加しています。
前章で解説した、熊本地震における性能表示制度の耐震等級3実績は非常に大きな影響を与えました。
さらに、住宅の耐震性能を強化するためのもう一つの考え方が現在主流となりつつあります。
それは「許容応力度計算」です。品確法の耐震等級3よりも更に耐震性能を強化する計算方法です。
2010年からM’s構造設計の佐藤先生が「木造住宅における許容応力度計算」を発信し続けています。
品確法と許容応力度計算の違いはどのあたりになるのでしょうか。
・品確法:壁の量・床の量・建物形状などに制限をつける方法
・許容応力度計算:建物が、ある強さの横向きの力(水平力)を受けた際に、各部材にかかる負担(応力)を計算し、
部材が耐えきれるかどうか判断する方法
下記は、それぞれの計算方法を比較したものです、どこが違っているでしょうか。
壁量で言えば、
建築基準法の必要壁量を1.0としたとき
・品確法の耐震等級3は、2.0倍
・許容応力後計算の耐震等級3は、2.7倍
の違いがあります。
また、梁、基礎の計算に関しても大きな差があります。
許容応力度計算の耐震等級3の普及に関しては、2010年からM’s構造設計の佐藤先生が「木造住宅における許容応力度計算」を発信し続けています。
現在、WEBサイト上に許容応力度計算を実施していると記載がある会社は
許容応力度計算:291社/2321社
品格法:200社/2321社
とまだまだ多くありません。
1に耐震、2に制振と私たちは伝えております。
その中で、許容応力度計算の耐震等級3をさらに強化する対策として制振装置があるべきだと考えております。
本章では、耐震等級推移と許容応力計算について解説しました。
次回は最終章として、制振装置について解説してまいります。