制振って何?耐震とは違う?木造建築には制振構造が必須である理由

住宅の購入を検討している方に、木造建築における制振構造の重要性をお伝えします。

日本は、震度1以上の地震が月に100回以上も発生するような地震大国です。

災害レベルの大型地震もいつかは必ず起こる環境において、建築物の対地震性能は必須の要素であり、住宅の購入を検討するにも『耐震』というキーワードは誰しもが気にする重要なポイントになりました。

命や資産を守るために耐震性を求めるのは良いのですが、実は多くの方が『耐震』について十分な理解をしておらず、その限界を知らないまま住宅選びをしているという事実があります。

耐震性能には限界があり、それをカバーして本当の意味で長期的に命や資産を守ってくれるのが、『制振構造』です。

これを詳しく説明します。

木造建築における『耐震性能』の限界とは

耐震、とはどのような性能のことを指すのでしょうか。

文字どおり『地震に耐える』のが耐震であり、建物を堅くすることで強度を上げ、地震に見舞われた際にも直ちに倒壊したりすることを避けることを目的とするものです。

建物が堅いので、大型地震が起きた際にも中にいる人が外に逃げ出すのに十分な時間を確保することができますが、一方で堅い分ダメージを直接受けやすいため、被災後の継続利用や修復などが難しいという弱点があります。

何度も余震が続くような大型地震の場合、本震による倒壊は免れたとしても、その後の余震に耐えられないようなケースもあります。

また、揺れのエネルギーを逃がさずに直接受ける構造になっていることから、震度1程度のわずかな地震の影響も受けてしまいます。

そのため、長期的な使用によって少しずつダメージが蓄積されて構造に歪みが生じ、耐震性は徐々に劣化していってしまいます。

多くの方がこの点を知らないまま、住宅の対地震性能として耐震性だけを検討しているのです。

(出所:千博産業株式会社evoltz『耐震+制振』

耐震の弱点をカバーして効果を最大化するのが『制振構造』

一方で、制振とはどのような性能なのでしょうか。

『揺れを制する』という字面のとおり、地震の揺れを受けて耐えるのではなく、エネルギーを吸収して軽減するのが制振です。

住宅の構造が受けるダメージそのものを減らしてくれるため、住宅の持つ耐震性の劣化を防いでその効果を最大化することができ、地震被災後の継続使用や修復の可能性を拡げることができます。

耐震性だけでなく、そこに制振構造を加えることによって、住宅の対地震の安全性は本当の意味で成り立つのです。


(出所:千博産業株式会社evoltz『耐震+制振』

高い耐震性を持つ住宅の中にいる場合、地震が発生しても揺れに気付かないようなこともあります。

制振構造を持つ木造住宅の揺れを分かりやすく表現している動画がありますので、ご覧いただくとイメージがつかめるでしょう。


動画を閲覧する>>

制振構造の木造建築は高級ハウスメーカーの専売?

「制振構造の必要性は分かったけど、制振装置は高いし、高級ハウスメーカーとかでしか扱ってないんじゃないの?」

たしかに、木造住宅に制振構造をもたらす制振装置は、安価ではありません。

ローコストビルダーと呼ばれるような、大量の建売住宅を販売している事業者の提供する住宅には、まず採用されていることはないでしょう。

しかし、かといって高級ハウスメーカーの専売であるわけではありません。

実は、最近では多くの工務店、それも大手に限らず地場に密着する工務店においても、制振装置の積極的な導入・採用が進んでいるのです。

中には標準採用として、手掛けるすべての住宅に制振装置を組み込んでいるような工務店もあります。

木造住宅の購入を検討している方は、相談している工務店に、制振装置について質問してみると良いでしょう。

多くの工務店が木造建築に採用する制振ダンパー『evoltz』

木造住宅用の制振装置として一般的なのが、『制振ダンパー』と呼ばれるショックアブソーバーのような装置です。

地震の揺れに対してダンパーが作用して伸縮し、エネルギーを吸収します。

(出所:千博産業株式会社evoltz『テクノロジー』

ところが、この制振ダンパーにはひとつ弱点があります。

それが、小さな揺れに対しては反応しない、という点です。

大型の地震の揺れを吸収するようにつくられているため、わずかな揺れでは効果が発揮されず、構造にダメージが蓄積されてしまうのです。

「じゃあせっかく制振構造を採用しても、ダメージの蓄積は防げないの?」

たしかに、かつてはそうでした。

しかし、独自の特許技術を持つ制振ダンパー『evoltz(エヴォルツ)』の登場によって、この常識は永遠に変わることになりました。

『evoltz(エヴォルツ)』は、『超バイリニア特性』という他に類のないオンリーワンの技術によって、これまでの制振ダンパーでは対応できなかったごくわずかな揺れに対して衝撃吸収効果を発揮し、木造住宅へのダメージの蓄積を防ぐことを可能にしました。

(出所:千博産業株式会社evoltz『テクノロジー』

この圧倒的な制振性能の高さにより、現在多くの工務店で制振ダンパー『evoltz(エヴォルツ)』が採用されています。

>>evoltz公式ウェブサイト

まとめ

耐震性能だけでは、木造住宅の構造を地震から守ることはできません。

大切な資産を長期的に守るためには、制振構造との組み合わせが必須なのです。

たしかに制振装置を組み込めば、木造住宅の建築費用は上がります。

しかし毎日のように小型の地震が発生し、いつかは必ず大型の地震が発生するとされる日本においては、住宅の対地震性能への投資は確実に価値のあるものとなります。

工務店としっかり相談し、制振構造について十分に検討してみてください。