制震と制振の違い、わかりますか?

地震対策には制振ダンパーが圧倒的に優れる理由
住宅における地震対策として耐震性を求めることはもはや当たり前ですが、近年ではさらにワンランク上の地震対策として制震(制振)性能に注目が集まっています。

しかし今まさにカッコ()で表現したいように、同じ「セイシン」でも「震」と「振」の字があることにお気付きでしょうか。

またお気付きの方は、その違いについて理解しているでしょうか。

たった1字の違いですが大きな差がある「制震ダンパー」と「制振ダンパー」の違い、ならびに「振」の字を使う「制振ダンパー」が圧倒的に優れている理由について説明します。

「制震」・「制振」に共通すること
制震ダンパーと制振ダンパー、どちらの字を使う場合も共通していることがあります。それは、地震などの揺れを装置で吸収することで建物へのダメージを軽減しようとする点です。

理解を深めるためにわかりやすい比較対象となるのは「耐震」と「免震」という地震対策の考えた方です。いずれも制震・制振と比べて認知度の高い言葉であり、建物への地震対策であるという点において共通しています。しかし大きな違いはその構造にあります。

耐震とは
建物の強度を高めて頑丈にすることで、地震によって建物が揺れても直ちに倒壊することを防ぐことを目的にしているのが「耐震」です。耐力壁と呼ばれる丈夫な壁を設けることで建物の耐久力を高め、地震が起きた際に中にいる人が外に逃げるまでの時間を確保しようとする考え方です。

建物の耐震の性能は「耐震等級」と呼ばれるレベルで分かるようになっており、3段階のうち「耐震等級3」が最高レベルです。これは耐震等級1で想定する地震の1.5倍の強さの揺れに耐えられることを想定しており、「耐震等級1で想定する地震」とは

震度6強~7程度に対して倒壊・崩壊しない
震度5強程度に対して損傷しない

を指しています。

免震とは
免震は「免れる」という字からもわかるように、建物が揺れそのものから免れるように地面と建物の基礎とを装置によって切り離し、地震の揺れを建物に伝えないことを目的とした地震対策の考え方です。

きわめて高い性能を誇りますがコストが莫大であり、住宅に取り入れられるケースは稀です。
一般的には大きなビルなどに導入されることの多い地震対策です。

制震・制振とは
耐震や免震と比べることで、制震・制振への理解が深まったかと思います。

繰り返しますが、制震(制振)は地震などで建物が揺れた際に、そのエネルギーを吸収することで建物への影響・ダメージを軽減しようとする地震対策のことです。

「制震」と「制振」の違いは?
制震も制振も、いずれも「ダンパー」という装置を建物に組み込むことで揺れを吸収する構造です。つまり制震と制振の違いは、ダンパーの違いに現れるということがわかります。

制震ダンパーと制振ダンパーの違いを知るために、まずは共通している点から理解してみましょう。

制震ダンパー・制振ダンパーの構造
ダンパーにはゴムダンパー・金属ダンパー・オイルダンパーなど複数の種類がありますが、いずれも建物の壁の中や柱などに設置する装置であり、例えるなら自動車のショックアブソーバーのような構造をしています。
伸縮することによって地震のエネルギーを吸収して変換し、建物に揺れのダメージが伝わることを防ぎます。

「制震ダンパー」は強い揺れにしか作用しない…それがなぜ問題なのか
ここからいよいよギモンの核心に触れていきます。

「震」の字を使う「制震ダンパー」は、大きな地震の揺れに対してのみ反応し、そのエネルギーを吸収します。言い換えれば、小さな揺れには反応しないということです。

「大きな地震から守ってくれるなら良いじゃないか」と思うかもしれませんが、実はそれでは不十分である明確な理由があります。

建物にダメージを与えるのは、大きな地震による揺れだけではありません。人が感じられないような震度1レベルの小さな揺れから、大地震の前後に発生する余震などの中規模の揺れまで含めて、わずかな揺れが少しずつ建物にダメージを与えて蓄積させているのです。例えば柱や梁などの構造にわずかずつズレが生じたりするわけですが、このわずかなズレが「耐震性」に影響します。

例え新築のときに耐震等級3であったとしても、経年や揺れダメージの蓄積によって耐震性能はだんだん低下していきます。そうなると、いざというときに十分な耐震性を発揮してくれるかどうかはわかりません。

だからわずかな揺れにも反応する「制振ダンパー」が不可欠
一方の「振」の字を使う「制振ダンパー」は、(メーカーによって性能は異なりますが)わずかな揺れから反応して建物へのダメージの蓄積を防ぐことができます。

小さな揺れに対応するという敏感さは、耐久性と両立させることが難しいため、多くのダンパーは「制震」に留まっています。しかし高い技術力を持つメーカーが提供する制振ダンパーなら小さな揺れの吸収はもちろん、大地震においてもしっかりと効果を発揮することができるようになっています。

住宅の購入や建て替え、改装などを考えている方は、小さな揺れから反応する「制振ダンパー」による地震対策を検討しましょう。「震度1程度の小さな揺れでも反応するか」という観点で商品を選ぶと良いでしょう。

まとめ
制震ダンパーと制振ダンパーは反応する揺れの大きさが異なることを説明しました。
大きな揺れから建物を守ることはもちろん前提になりますが、さらに小さな揺れによるダメージの蓄積を回避することで耐震性を保つことの重要性がご理解いただければ幸いです。

制振ダンパーを検討する場合、ドイツの老舗ショックアブソーバーメーカー「ビルシュタイン社」の特許技術の粋を詰め込んだ「evoltz(エヴォルツ)」をぜひご検討ください。他の制震ダンパーとの歴然とした差がすぐにわかるかと思います。

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